NOUTEN QUEST✨

過ぎ去りし時を乗り越えて…

一人暮らしをはじめた話 ➂

環境を変えたら何かがかわるかもしれない。


そう思って一人暮らしをしたかった。


このまま毎日、王宮暮らしを続けることが、自分にとっては良いこととは思えなかった。


しかし、なぜかそれをしようとすると何かわからな力に引き止められる。


一歩を踏み出せずにいた。


やっと踏み出せたと思ったのに。


何処か引っかかるものを感じていた…。





女王様の卑屈な物言いに嫌気がさして、ノーテンは職場の寮に勢いで引っ越す決断をした。


いきなり部屋へは引っ越すことはできなかったので、しばらくは王宮にいた。




「いつ出て行くの?」



女王様の言葉が重くのしかかった。



早く出ていかなければと思いながら、結局、一か月は実家にいた。



職場の寮は決して良いと言える部屋ではなかった。築20年くらいのアパートでネット環境はない。広さはまぁまぁあっても、水回りの変な匂いや冷たい感じのWCとか、気持ち悪かった。


それともう一つ。なぜその部屋が空いていたのかというと、隣の住人にあった。


職場が借り上げたアパートだからそこに元々の住人はいた。


どうやらその人が夜な夜なお祭り騒ぎをして本当に迷惑極まりなかったらしく、みんなそこの部屋に入っては嫌だと、他の部屋に変えてもらっていたのである。



「とりあえず、隣の住人が騒がしくしていたら報告してくれないか?」



事務のお兄さんがなんで寮が空いているかと言ってきた理由が分かった。






「これがお前のやり方かーーーーー!!」






っとここまでは大げさですが、ある程度は事前に話を聞いていたので、承知の上でそこの部屋に入ることにした。


もともとそこにずっといるつもりはないと決めていた。


突然、隣の住人が(〇リヘルを呼んで?)、謎の奇声を挙げていても、ネタになると思ってやり過ごした。


目的は一つ。このままどこかでしっかり部屋を借りて一人暮らしを始める事。


ここでしっかりできなければ一人暮らしなんてできる訳ないと。そう思っていた。


密かにロマリアへ物件を見に行っていた。


ある時、家賃も、駅までの距離も、部屋の雰囲気も良さげな物件が見つけてどうしようかと考えていた。


一つネックだったのが王様が保証人になってくれるかどうかであること。


躊躇するわけにもいかず、もうLV30の大人だから…。と、保証人になってもらえると信じて王様にお願いしようと思った。


また女王様に卑屈な事を言われるかもしれな・・と一瞬、よぎった。




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※ドラゴンクエスト3より



いろいろ心配ではあったが、ある時にロマリアのに引っ越したいことと、保証人についてを相談をしに行った。



話の雲行きは悪かった。



レーベの村の寮に入って半年もしていないのに、今度はロマリアに部屋を借りたいなんて何を言っているのじゃこいつはと思っただろう。






「好きにしろ。だけど、お前の保証人にはならない!」







王様のその一言がすべてを語ってくれた。



冷めてしまった夕飯を残し、ノーテンは王宮を後にした。


寮に帰ってから、自分で作った雑なご飯を食べながら考えていた。


本当に王宮は暖かかったんだなぁ。寮に引っ越すなんて決めなければ今のあの暖かいご飯を食べれたんだな。本当に馬鹿だなぁ・・。


それでも、保証人になってもらえると思っている時点で、甘えていたと言えるのかもしない。



自分がそうしたいから一歩を踏み出したのであって、このまま寮に留まることにも納得はできない訳で。



ノーテンは保証会社を使ってロマリアの物件を契約することを決めた。





第④話へ続く・・