おあばさんのスパイロ検査
たまにはこんなお話も。
先日、体調不良で病院を受診された90代のおばあさんがいました。
採血で値がピークアウトしており、もしかしたら悪性の所見もあるかもしれないと、検査もスクリーニングとうよりは精密検査も含め、一式オーダーされていました。
採血やら造映CTやらエコーやら・・もうぐったりした様子でいました。
最後にやってきたのが呼吸機能検査。
見た感じ検査大丈夫かな?という印象でしたが、検査の説明も理解して受け答えもしっかりした方でした。
「はい吸ってーーーーーはいてーーー!!」
とVCとFVCもきれいなピークも出て、思わずすごし!!と感じてしまいした。
出てきた肺年齢は80代。
「これは何の意味がある検査なんですか?」
とうなだれた顔を上げておばあさんにきかれました。
これは検査説明すべきか?と思いましたが、まぁ多分、そんなに詳しいことを知りたいわけではないだろうと思い、
「これは肺の強さをみる検査ですよ」
と答えました。
「どのくらい強いんですか?」
ときき返すおばあさん。
「そうですね・・肺年齢は80歳です。」
と答えると・・・
「それはどういうことなんですか?」
さらにきき返すおばあさん。
「それは・・・・」
一瞬、考えたけれどそこまで詳しく説明はしなくても良いだろうと、
「おばあさんは若いってことですよ!」
「ぷふっ。そうですか・・」
とぐったりした表情からすこし笑顔がみられました。
「あら、おばあちゃんやっと笑顔がでてきたね!」
とご家族の方と笑いながら検査室を後にしていきました。
ひょんな一言から見えた笑顔。
病院にきたら検査であれやこれややられて疲れや不安もある中、ちょっと職員と笑って会話できる時間もあった良いのかもしれないと思ってしまいました。
時にはこんな何気ないことも臨床であり患者さんのことを思った医療なのかもしれません。
おばあさんはその後、悪性の所見も見当たらず、急性胆嚢炎の診断で他院への転送もなくPTGBDなど院内でできる処置となりました。
寒くなりますが、どうぞこれからもお元気でお過ごしください。