血ガスデータを簡単に考える
動脈血から以下のデータが得られました。
pH: 7.41
PaCO2: 55.4 mmHg
PaO2: 61.4 mmHg
HCO3: 34.5 mEq/L
AG: 4.8 mEql/L
Hb: 7.9 g/dL
このデータについてを考えていきたいと思います。
まずは血ガスの基準値から
基準値
pH: 7.35~7.45
PaO2: 80~100 mmHg
PaCO2: 35~45 mmHg
HCO3: 22~26 mEq/L
AG: 8~16 mEq/L
Hb: 男性 12~15g/dL 女性 10~13g/dL
血ガスでまず見るべきところはpHです。
pH: 7.45 < → アルカレミア
pH: < 7.35 → アシデミア
と考えます。
※アシデミア、アルカレミアとはpHから読み取れる血液の状態であり、患者の様態を示すものとしてアシドーシス、アルカローシスという言い方をするそうです。
(いきなりややこしい!!)
このデータからだとどちらにも属さないですね。
次にPaO2 PaCO2 HCO3- についてを見てみます。
PaCO2: 55.4 mmHg (基準値↑) PaO2: 61.4 mmHPa (基準値↓)
なんかO2足りてない感じがします。CO2も上がっているので呼吸性のアシドーシスが考えられそうなデータです。
ここでHCO3-の値はどうでしょうか?
HCO3: 34.5 mEq/L (基準値↑)
高くなっていますね?
HCO3-は代謝性の因子です。勘違いしやすいのは、上昇することは血液はアルカレミアに傾くということになります。(重炭酸イオンというので酸と考えてしまいますが・・)
体の状態としては
HCO3- ↑ 代謝性アルカローシス
HCO3- ↓ 代謝性アシドーシス
ってことはこの人は代謝性のアルカローシス??
えっ!さっき呼吸性アシドーシスって言ったじゃん!もうなんなの??知らない!!
っと思ったそこのあなた!(誰だよ・・)
体は常に中性な状態を保とうとしているのです。
えっ中性的?男の人だけどなんかまろやかな感じの人・・? そうではない。(ごめんなさい)
体の中は酸と塩基の平衡を保っているということを考えてください。
この人は呼吸の低下により呼吸性アシドーシスを起こしているのですが、体がアシデミアに傾いた血液を中性にするためにHCO3-で中和をしている状態と考えられます。
つまりは呼吸性アシドーシス(代償HCO3-↑)であり、慢性呼吸性アシドーシスであるということが考えられます。
いきなり結論を言ってしまいましたが、簡単に考えると血ガスのデータがなんとなく読めてきます。
参考書とか勉強会に行くと、どうしても補正HCO3-の計算式などの話で訳が分からないので自分なりに臨床で血ガスのデータ見たときはこんな感じで考えています。
このデータの読み方を基本に考えると、急性呼吸性アシドーシスの場合はpH↓のアシデミアであり、HCO3-は正常範囲内にあるのかもしれません。酸素吸入とかをするのでしょうか?
呼吸器性のアシドーシスの原因としてはとしては以下のものが挙げられます
・心疾患、循環器障害
・気道閉塞、凶作
・CO2吸入
可能なかぎりで伝えますと、このデータは呼吸苦で救急外来に来て心不全の疑いで入院になった方のものです。入院加療で心不全の治療が進めば、血ガスのデータの改善しれいくのかもしれません。心不全の評価で心エコーも依頼されると思います。
少しだけわかると血ガスのでデータを見るのも楽しくなりますね。もちろん緊急性があればすぐに伝えないとダメですが。
この場合はあまり意義はないかもしれませんが、AGとHbの値についてを最後に説明しておきます。
AG(アニオンギャップ)
塩化物イオン、重炭酸イオン以外の陰イオンの総量
AG = [Na+] ー [Cl+] ー [HCO3-]
生理的な反応以外で陰イオン(乳酸、ケトン、リン酸塩)が増える、つまり、代謝性のアシドーシスの場合に上昇する項目と考えてください。腎不全などでは酸が増えます。
Hbはヘモグロビン濃度ですが、血算とHbとデータの相関性が悪いので低くても血算の測定値を参考にした方が良いです。(多分、原理の違い)
以上で、呼吸性アシドーシスというピンポイントな話になりましたが、血ガスのデータの見方を説明させていただきました。間違っていたらごめんなさい。
他の場合も調べてみてください。
参考