臨床検査技師と在宅医療
お待たせいたしました。
興味深いタイトルと感じた方もいるのではないでしょうか?
4月に日本臨床検査技師会が主催で、「臨床検査技師による在宅医療の推進」講習会に参加をしましたので、それについてを自分なりの意見も踏まえてまとめさせていただきます。
この研修会は2日に渡り行われ、1日目は大森の協会本部で在宅医療についての講演を聞き、二日目は日本在宅医療学会に技師会として初めて参加するという試みでした。
ここでは1日目の講演の資料の内容を元に、在宅医療と臨床検査技師についてを書いていこうと思います。
在宅医療の必要性
はじめに在宅医療ってなんだと思いますか?
病院のサービスを各ご家庭に提供する出張サービスでしょうか。
社会は超高齢化と言われています。そして我々働き手も少なくなってきています。
平均寿命は男性80.98 女性87.14 (2016年)であり、8割の人は75歳まで生き、女性は5割、男性が2〜3割はが90歳まで生きると推定されています。
それに加え、健康寿命というものがあります。
健康寿命・・介護などの必要がなく、日常生活を支障なく過ごせる期間
男性:72.14 女性:74.79
平均寿命を考えると、75まで普通に生きて来れても、そこから介護や支援が必要、もしくは自立が困難になる方も増えてくることが考えれれます。
もちろん認知症の有病率も上がります。
そこに「治し支える医療」の必要性がある訳です。
在宅医療の課題
高齢者のフレイルという言葉があるそうです。
高齢者の虚弱(フレイル)・・加齢と共に心身の活力(筋力や認知機能)が低下し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの危険性が高くなった状態。
在宅医療のポイントとして、そのような方々を1人にせず、地域で介入して支えていくというものがあります。
また、入院をすると認知機能の低下を生じやすいそうです。
在宅医療の課題として
①健康生活の維持、苦痛の緩和
②生活の継続
③最後をどう迎えるか
ここに医師や歯科医師、看護師、ケアマネージャー、管理栄養士、理学療法士・・さまざまな職種がそれらの課題に取り組んでいます。
臨床検査技師はどう関われる?
じゃあ臨床検査技師はどこに関われるの?と考えてしまいますね。
私たちがやっている検査。検体検査、生理機能検査、それらが必要なのは
①定期的な状況把握
②症状変化時の診断
になります。
検体検査→採取から検査開始まで時間がかかる(本院に持ち帰るなどの対応)
☆POCT`試薬でPT-INR, NT-proBNP, GLU, HbA1c, D-dimer ,トロポニンT,CK-MB,血ガスなどは迅速でできる
☆インフルエンザ等の感染症迅速検査
生理検査→心電図、超音波、SpO2
☆大まかな状態の把握(プライマリーケア)
☆IVHライン挿入や腹水穿刺などの手技の介助にエコーの活用
臨床検査技師が病院と同じように検査に携わることはできても、在宅の課題に取り組むには検査業務のみではほんの一部ということがわかります。
しかし、検査技師さんが在宅で検査をしにきてくれた事に対する患者さんの満足度は高いそうです。
まだまだ体制づくりは必要だと思いますが、検査の機械も操作が簡便になれば検査技師でなく、看護師がエコーをとることも考えられてきます。(実際、看護師もエコーを狙っているらしいです)
これから期待ができる分野かどうかはわかりません。少しづつ、この分野に取り組んでいる臨床検査技師もいるそうですが、検査としてというよりも事務方に携わっていたり、実際に訪問して医師の指示の元でエコーや採血をやっている人もいるそうです。
検査という目線で見るのでなく、他職種の理解と協力を必要とする分野になるのではないかと私は感じました。
かなりざっくりまとめてしまいました。来年もこの講習会はあると思うので、興味があれば参加してみてください。