NOUTEN QUEST✨

過ぎ去りし時を乗り越えて…

臨床検査技師の他職種連携について

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前回の在宅の講習会とは別に、都道府県技師会の勉強会で、多職種連携のための臨床検査技師講習会のというものに参加をしました。

 

この講習会は日本臨床検査技師会および、都道府県臨床検査技師会の共同主催で、今年を含め、3年間にわたり開催するというものでした。

 

日臨技が助成金を出し、講師や受講費用については各都道府県技師会に任せているそうで、私の所属する県の技師会では1000円で受講ができました。

 

対象者は検体採取に関する厚生労働省指定の講習会を受講した人らしいです。

 

講習会の目的は「多職種の業務を知ることで、医療現場における臨床検査技師の職務向上」ということでした。

 

今日はここでの内容を簡単に触れて、臨床検査技師の多職種連携について自分なりの意見を述べたいと思います。

 

 

 

臨床検査技師が多職種を知る意義

チーム医療という言葉を耳にすることは多いと思います。

平成19年に厚生労働省にてそれらの素案が作られた、チーム医療推進会議が開催された平成22年10月には日本臨床検査技師会もメンバーに加わったそうです。

 

しかし臨床検査技師の業務は付加価値がついたデータを臨床に提供することが最良のチーム医療といった考え方もあり、本当にチーム医療を実践しているのかどうか疑問に思う人も多かったそうです。臨床検査技師の臨床って?なんなのか。

 

社会的に少子高齢化が進んでいます。医療体制は今後、急性期の病棟のベッド数をへらし、療養病棟や回復期病棟、または在宅や介護施設などの利用も増えていくと考えられています。(2025年問題。医療・介護提供体制の強化)

 

急性期が少なくなるということは、それだけ検査の件数も減ることは考えれれてきます。現状でも検体が出なくなくなれば、手持ち無沙汰になってしまう検査室もあるのではないでしょうか?

 

長い目で見て、従来の受動的な検査業務から、能動的な検査業務へのパラダイムシフトをしていかなければならないでしょう。

 

病棟検査技師というものも新しく耳にするようになりましたが、このように検査室から多方面へ出て行き役割を果たしていく形が考えられています。

 

現に薬剤師は調剤業務から病棟薬剤の準備や、患者に服薬の説明・相談業務などを行うようになっています。臨床検査技師もそれに追いついていかなければなりません。

 

前回の在宅についての記事でも少し触れましたが、多職種との協力が必要となってくるであろうと思います。病棟で看護師が何をやっているかわかりませんし、検査だけで見ていては在宅の現場はほんの一部です。他の職種がどのようなことをやっているのか。それを知る意義はあると思います。

 

どんなことを講義で学んだのか

すべてを書くことはできませんので、簡単に挙げておきます。

①患者心理とコミュニケーション・・・看護師

➁知っておくべき患者移送技術・・・理学療法士

➂知っておくべきベッドサイド機器管理・・・臨床工学士

④知っておくべき薬理について・・・薬剤師

➄知っておくべき画像検査・・・放射線技師

 

①について

看護師という仕事は4つの「みる」を使っている

見る・・相手の方を全体として判断する目的

観る・・その人の動きや表情を眺める

診る・・その人のバイタルサインを確認する

看る・・患う人の心と体の変調に対して専門的な知識を必要とする

 

看護師の仕事は人間生活そのものと関わる仕事であり、人の一生そのことに関わる仕事である。しかし、病気にならなければ病気の人の気持ちにはなれない。どうする看護師さん?

 

看護師の仕事はテクニックもあるかもしれませんが、個人であったり家族であったり様々な「人」に関わる仕事だということを感じました。

 

➁について

私は介護初任者研修をうけたことがあるのですが、その中で体に負担をかけずに移乗をさせるボディメカニクスについての話がありました。ベッドや車いすストレッチャーなど、理学療法士さんが普段、患者にやっている方法などを実演も交えなが学びました。

 

➂について

シリンジポンプや輸液ポンプって病棟でエコーや心電図をとりに行った時に見たことあるけれど、どういうものかはよく知りませんでした。


シリンジポンプ・・時間当たりの投与量が少ない薬剤を正確な量で投与しなければならないときに使用する。(心不全などの重症患者に強心剤、降圧剤、抗凝固剤を輸液をする場合)

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輸液ポンプ・・時間当たりの投与量が多い薬剤を正確な量で投与しなくてはいけない場合(栄養剤や生理食塩水など持続的な投与が必要な場合)

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他にも除細動器の使い方(※通電できるのは医師のみです)やベッドサイドモニターについてを学びました。

 

④について

学校で薬理学を学んだ人もいるかもしれません、薬についての基礎知識や、スイッチOTC(医療用医薬品が市販で手に入るようになったもの)、医薬品の添付文書の見方、イエローレター、ブルーレターについて、TDMのトラフ値、ICTにおける抗生剤の使い方や耐性菌についての話を薬剤師さんからしてもらいました。薬剤耐性(AMR)対策やICTについては検査技師も関わる分野なので、ちょっと興味深かったです。

 

➄について

放射線画像検査の原理や放射線の基礎知識、画像の見方、救急の場面で放射線画像検査を選択すべきか、エコーを選択すべきかなど放射線技師と臨床検査技師の協力について(講師の考えでもありますが)講演してもらいました。

 

講演を聞いて何を思った?

この講演を聞いたからといっても何かができるようになるわけではありません。

しかし、臨床検査技師以外の職種の人たちがどのように患者に関わっているのか、ふだんどのような業務をやっているのか。それらを知ることができたのは非常に大きいことだと思います。

まだ、私が就職したての頃、外来を歩いていたら酸素の黒いボンベを持った患者さんから「これが重くてねぇ・・」と声かけられたのですが、それが酸素であることすらわからなかったことがありました。

その時、自分は本当に病院で働いている人間なんだろうか?と疑問に思いました。

検査室にいるだけでは病院の仕事は見えてきません。

逆に看護師さんやその他の職種からしたら臨床検査技師がなにをやっているかわからない人も多いと思います。

お互いを知るということは大切です。

病院は患者さんあっての仕事になりますし、患者さんのことを考えられる臨床検査技師なんて言うとありきたりで綺麗事みたいですが、それを積極的にできる体制ができてきてほしいなと思います。

もちろん、自分たちの施設でできることがあれば小さなことでもやっていって良いと思いますが。

10年後も臨床検査技師が胸張って働ける世の中であってもらいたいものだなと思います。

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