山中伸弥先生に人生とiPS細胞についてを聞いてみた
以前、女優の芦田愛菜ちゃんが収録の合間によく本を読んでいたことがバラエティ番組でやっていて、その中で、一番感動した本としてあげられていたのがこの本。
元は整形外科医として研修時代を過ごしていた山中先生でしたが、あまりに手術が下手で指導をしていた鬼軍曹とも呼べるに値する先生に「ジャマナカ」とまで言われたことに始まり、基礎医学へ進み、iPS細胞の研究に取り組むまでを先生自身が語られています。
有名な一節として、「人間万事、塞翁が馬」と言う言葉を先生自身が語られているところがあります。
もともとの意味は、中国の故事成語として、人生の幸も不幸も予測ができないと言うことですが、先生は人間(じんかん)万事、塞翁が馬と語っています。
先に述べた通り、臨床の医師としてのスタートは歯がゆいものだったのかもしれませんが、大学院で薬理学の実験をしたことがきっかけで、研究の世界に入り、アメリカに渡り、そして、帰国後にはアメリカ後鬱病(PAD)に悩まされながらも、優秀な研究員達の協力もあって、論文捏造スキャンダルの陰でひとつひとつ実験を繰り返し、ついには世界に認められる論文の発表ができ・・。
もともとはがん遺伝子の研究をする過程で、ES細胞を用いていましたが、道具として用いていたES細胞の多能性に興味を持ち、医学への応用の研究を始めることとなりました。ES細胞は元の母親の遺伝情報を持ち、分化させた細胞には免疫拒絶反応を起こすおそれがあるために、ES細胞に似た細胞を作るための仮説と検証をしていった結果が今日に繋がっているそうです。
簡単に説明していますが、言いたいことは今では知る人もいない山中教授ですが、はじめからiPS細胞の研究に嗅ぎ付いたわけではなく、それまでの過程があったということです。いろんな出会いやきっかけがあって、長い時間をかけて積み重ねてきたものがあるわけです。
反対に小保方春子さんのように予測できない不幸に見舞われた方もいるのかもしれません。
私自身、医師ではありませんが、就職した病院で上司から「この役立たずが!」といわれて一日中、部屋で何もせずに立たされたこともありました。しかし、今は、それなりに仕事にやりがいや興味を持って、勉強したり技師としてなにかできることはないかなどと考えたりしています。
一度はクソくらえと思った職業でも、転職をくりかえしてもそこで出会った人や経験したことに少なからず影響を受けているのかもしれません。今の彼女とも出会わなかったかもしれません。
これから先、どうなるかなんて考えても分かるわけがないです。安易に考えて悲観的になるなんてもったいない。
話が逸れてしまったかもしれませんが、山中教授とiPS細胞のエピソードにそんな人生的な何かを感じました。
もちろん研究の世界というものをわかりやすく書かれていますし、きっとそこに至るまでに膨大な数の実験を繰り返したんだろうなと思います。
医療のことを全く知らない人にも解説がついて読みやすいと思います。
教養としてもとても良い一冊です。